契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「ああ、ごめん。彼女のことを奈々未って呼んだことを不審に思ったかな?」
「えっと、その、不審というわけではないですけど、すみません」
「別にそこ、謝るところじゃないでしょ。うちの奥さんも何かといっては謝ってばかりで。ねえ、奈々未?」
「あ……」
 
 そういうこと。ふたりは夫婦なんだ。ホテルの総支配人とコンシェルジュなんて、なんて素敵なんだろう。
 
 見れば御苑さんは頬を赤く染めて、恥ずかしそうにしている。

「もう旺丞さん、余計なことは言わないでください。私、もう仕事に戻ってもいいですか?」
「これもれっきとした仕事なんだけど。まあ、いいよ。急に頼んで悪かった。あ、もうすぐ彼女のご両親もお見えになるから、またここまでご案内して」
「わかりました。では天海さま、ごゆっくりおくつろぎください。失礼いたします」
 
 御苑さんは優しい笑顔を見せ会釈すると、部屋から出て行った。

「素敵な奥様ですね」
「はい。僕にはもったいない、世界一の奥さんです」
 
 瀬上さんはそう言って、少しだけ頬を赤く染めた。



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