愛は知っていた【完】
……そう、もしお兄ちゃんが私と白井先生がスーパーで買い出ししてる光景を見かけたとしても、そんなの取り立てて気に掛けることではないのだ。

あんな精神的に大ダメージを与えられるものを見てしまった後で、半ば自暴自棄になっていた部分もあった。
お鍋をご馳走になった私は、珍動物の特集なんかをやっているテレビ番組を見ながら楽しそうにしている白井先生を押し倒して馬乗りになった。


「へぇ……見かけのわりに大胆なことをするんだね」
「人は見かけで判断するものじゃないですよ」
「そろそろ帰らないと、家族が心配するんじゃない?」
「別に。友達の家にいるって言ってますし」
「ふうん」


白井先生の余裕のある笑みが、無性にいけ好かなかった。
この人、少しタレ目で儚い感じの顔立ちというか、全体的に顔のパーツがお兄ちゃんに似てる気がする。

悔しいけれどそんなことを考えてしまった。
ますます気に入らない。
まぁ似ているのは外見の雰囲気だけで、中身はお兄ちゃんの方が十倍魅力的だけど。
< 12 / 79 >

この作品をシェア

pagetop