愛は知っていた【完】
「輝雪の進学先からしてどうせ遠距離になっちゃうから仕方ないのかなぁ」


進学先……えん、きょり……?
お兄ちゃんは遠くの学校に進学しちゃうの?
そんなの初耳だった。
お父さんもお母さんもそんなこと言ってるの聞いたことない。
家族と会話をする機会自体減っていたってのもあるけれど。

真意をすぐにでも確認したかった私はお兄ちゃんの教室へ急ごうとトイレを飛び出した。
しかし後方から先輩が、


「輝雪なら早退したよ」


と教えてくれたので、方向転換して自分の教室へ向かった。
私も早退してお兄ちゃんの元へ急ごう。
ちゃんと直接話して、お兄ちゃんの本心を聞かなきゃ。
そうじゃないと私納得いかないよ。
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