愛は知っていた【完】



インセスト・タブーとかいう横文字をどこかで見かけたことがあった。
近親相姦、まさしく自分が犯そうとして何度も踏み止まった禁忌だ。

俺にはひとつ下の妹がいて、幼少の頃から本当に仲が良かった。
どこに行くにしても朱里は俺の後をついてきて、また俺はそんな朱里を愛おしく感じていた。
これが家族愛として永遠であればどんなに救われたことか。

いつからだろうか、俺は朱里のことを一人の女として愛すようになっていた。
いけない感情だと自覚はあったが、そこで引き返せるほど俺は自制心がなっていなくて、手だけは出さないようにとブレーキをかけることが精一杯だったのだ。

そんな俺の葛藤を知る由もなく、朱里は俺のもとにやってきては激しいスキンシップをしてくる。これも昔からだ。
一緒に風呂に入ったり一緒の布団で寝たり、両親から注意を受けても朱里はそれを控えることはなかった。
流石に中学生に上がっても続けているのは、俺の理性が持たないかもしれないという意味でもマズい感じたのだが、断わったことにより朱里がショックを受ける姿も見たくないし、やっぱり俺は朱里のことを愛していたから、少しでも長く傍にいれることは本望だったのだ。
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