愛は知っていた【完】
朱里が中学校に入学してからはマネージャーを務め、通学も共にして、生憎俺の通う中学は給食制度だったから昼食を一緒にとることは不可能だったが、昼休みになれば俺の教室にやってくることもしばしばあった。
朱里が俺の名前を呼んでくれるだけで幸せな気持ちになれる。
天使のような笑顔で俺に近付いてきてくれる度に、自分のものにしてしまいたいと浅はかな望みを描いた。
部活の面々や白井先生からも認められるほどに俺達の絆は本物で、しかし俺が朱里に向けている愛と、朱里が俺に向けている愛は違うものなのだと、そう自分に言い聞かせるのが苦しかった。
「シスコンっていっても度が過ぎてるんじゃね?」
「お前顔は良いんだから損してるぞー」
「それに妹だって迷惑してるんじゃないか?お年頃だし、そろそろ彼氏とか欲しがってるんじゃねーの?」
受験生になった秋、本来引退すべき部活動は受験勉強の気休めとして続けていた俺だが、周囲の連中からこんなことを言われたのが事の発端だった。
朱里が俺の名前を呼んでくれるだけで幸せな気持ちになれる。
天使のような笑顔で俺に近付いてきてくれる度に、自分のものにしてしまいたいと浅はかな望みを描いた。
部活の面々や白井先生からも認められるほどに俺達の絆は本物で、しかし俺が朱里に向けている愛と、朱里が俺に向けている愛は違うものなのだと、そう自分に言い聞かせるのが苦しかった。
「シスコンっていっても度が過ぎてるんじゃね?」
「お前顔は良いんだから損してるぞー」
「それに妹だって迷惑してるんじゃないか?お年頃だし、そろそろ彼氏とか欲しがってるんじゃねーの?」
受験生になった秋、本来引退すべき部活動は受験勉強の気休めとして続けていた俺だが、周囲の連中からこんなことを言われたのが事の発端だった。