政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
『はい。本日十八時に久世様宅からご予約をいただいております。さっそく上がらせていただき、調理を始めたいのですが』

「えっ? 本当に予約があったんですか?」

『はい、久世零士様からたしかに』

 零士君が予約したんだ。

「すみません、今開けます」

 急いで玄関へと向かい招き入れると、男性はコックコートに着替え、キッチンで調理を開始した。

 こういうサービスがあるのは知っていたけど、うちは住み込みのお手伝いさんがいたから利用したことがない。

 どんな料理を作ってくれるんだろう。だけどどうして急に零士君はケータリングをお願いしたのかな?

 疑問に思いながらも、プロの包丁さばきに目が釘付けになる。

 味つけなど興味深くてジッと眺めていると、クスリと笑う声が聞こえた。

 驚いて室内を見回せば、いつの間に帰ってきたのか零士君がいた。

「びっくりした、いつ帰ってきたの?」

「さっきだよ。もうシェフが来ていると思ってインターホン押さなかったんだ。でもさすがにドアを開ける音には気づくと思ったんだけど……」

「ごめん、気づかなかった」

 正直に謝ると、零士君の笑いは増す。
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