政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「そうみたいだな。興味津々でシェフが料理するところを見ていたし」

「うん、プロが作っているところをこんな間近で見られる機会なんて、なかなかないから」

 そう言うとシェフは、「恐れ入ります」と言って気恥ずかしそうにした。

「あ、でもどうして急に?」

「んー?」

 着替えるためにキッチンを出ていく零士君の後を追う。

「どうしてケータリングをお願いしたの?」

 あ、もしかしてやっぱり私の作る料理が口に合わなかったとか? だからプロにお願いしたの?
 そんな不安が頭をよぎる。

「凛々子が疲れていると思って」

「えっ?」

 意外な答えに廊下に出たところで足が止まる。すると零士君も足を止めて、振り返った。

「千鶴と買い物にも行ったんだろ? あいつ、妙に気合いが入っていたし、欲しい服があるって言っていたから、連れ回されて大変だったんじゃないか?」

「えっと……」

 図星で言葉を濁すと、零士君は「フフッ」と笑みを零した。
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