政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「お姉ちゃん? やっぱり怒ってる?」

 なにも言わない私を見て、大雅君はビクビクしている。

「ううん、怒っていないよ? ……大丈夫、お姉ちゃんはいつでもお兄ちゃんに抱っこしてもらえるから」

「本当? よかったぁ」

 安心した大雅君を見てホッとするも、非常に恥ずかしいものがある。

 現に零士君はもう笑いをこらえることができなくて、「クククッ」って声が漏れちゃっているし。

「大雅!」

「パパー!」

 人が移動して父親が慌てて駆け寄ってきた。

 父親の姿を見るなり、大雅君は必死に手を伸ばす。その姿に零士君は寂しそう。

「すみません、ご迷惑をおかけしました。本当にありがとうございました」

「いいえ、俺たちも大雅君と一緒にショーを見られてたのしかったです。……な? 凛々子」

「うん」

 父親に抱かれると、大雅君は私たちに向かって笑顔で手を振った。

「お兄ちゃん、お姉ちゃんまたねー!」

「うん、またね」

 きっともう二度と会うことはないと思う。それでも偶然が重なり、また出会えたらと願ってしまう。
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