政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「そう、女狐! 絶対凛々子ちゃんも知ってると思う。会うたびに先陣を切ってお兄ちゃんにべったりくっ付いていた、笹野(ささの)綾子(あやこ)!」

 その名前はもちろん知っている。
 笹野さんは千鶴ちゃんと同い年の二十一歳。少しつり上がった猫目できつい印象を抱く。
 でもすごく美人な子で、私より年上に見えるほど大人っぽい。

 千鶴ちゃんとはたしか犬猿の仲だった気がする。

「お兄ちゃんはもう凛々子ちゃんと結婚したっていうのに、まだ諦めていないようでさ。権力を振りかざして会社まで押しかけているっていうじゃない」

「そうなの?」

「うん、お兄ちゃんの仕事が終わるのを待ち伏せしたり、父親にお願いしてお兄ちゃんと会う機会を作ってもらったりしているみたい」

 笹野さんの父親は大手銀行のトップ。

 うちのお父さんの会社もそうだけど、おじさんの会社も多くの融資を受けていると思う。

 だから笹野さんは結婚する前、私より零士君と見合う女性だと思っていたうちのひとりだった。
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