政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 なんてことを考えながら立ち上がり、彼のもとへ駆け寄っていったものの、その足が止まる。

「あれって……」

 心臓がドクンと鳴る。

 零士君の隣には、見覚えのある女性が寄り添うように歩いている。

 綺麗で大人っぽくて、零士君の隣に立っても劣らない。お似合いの人。

 どうして笹野さんが零士君と一緒にいるの?

 ふたりとどんな顔をして対峙したらいいのかわからなくて、逃げ出したい衝動に駆られる。

 だけどそれは叶わず。私に気づいた零士君は「凛々子!」と呼び、駆け寄ってきた。

「悪い、遅くなって」

「あ……ううん、お仕事お疲れ様」

 気になって仕方がない。笑顔で零士君の隣に立つ笹野さんのことが。

 そんな私に気づいたのか、笹野さんが口を開いた。

「お久しぶりです、深山さん。あ、今は違うのよね。凛々子さんって呼ばせてください」

「はい。……お久しぶりです」

 まずは挨拶をして頭を下げると、笹野さんは声を弾ませた。
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