政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「凛々子、見ろよ! ペンギンが散歩してる!」

「うん、可愛いね」

 館内に入ると、ちょうどペンギンの散歩が始まるとのアナウンスが流れ、文也に手を引かれて会場へ行くと、よちよち歩きの愛らしいペンギンたちが多くの人を魅了していた。

 私と文也も人と人の隙間からその可愛い姿を覗く。

 その後も道順に沿って展示物を見て回る。話は尽きず楽しいはずなのに、心から笑えていない自分がいた。

 やっぱりどうしても初デートのことが引っかかっている。

 どうして文也は忘れてしまったんだろう。もしかして女性と違って男性は、恋人との記念日や思い出など覚えていないもの? 文也が普通なのかな。

 恋をするのも付き合うのも、文也が初めての相手だから普通がわからない。でも――。

「凛々子、次はこっち!」

 文也は笑顔で私の手を引き、次の展示物へ向かう。

 大切なのは過去のことじゃなくて、今、現在だよね。重要なのは初デートを覚えているか、いないかじゃない。こうして私とのデートを楽しんでくれていることだ。

 それからは文也との久しぶりのデートを楽しみ、時間はあっという間に過ぎていく。

 昼食も水族館でとって、夕方までめいっぱい楽しんだ。
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