政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「名演技だったでしょう? 凛々子さん、よかったですね。零士さんに信じてもらえて。せいぜい愛想を尽かされないように頑張ってくださいね」

 笑顔でチクリと嫌味を言うと、笹野さんは「タオル、お借りできます?」と聞いてきた。

「は、はい」

 言われた通りに脱衣所にあるタオルを渡すと、笹野さんは平然と足を拭く。

「ありがとう」

 差し出されたタオルを受け取ると、笹野さんは「お邪魔しました」と言って去っていった。

 玄関のドアがバタンと閉まっても、私も零士君も言葉を発することができない。だけど少しして零士君が口を開いた。

「ごめん、凛々子。嫌な思いをさせて」

 深く頭を下げた零士君に慌てて言った。

「やだ、やめて零士君。どうして零士君が謝るの?」

 零士君はなにも悪いことをしていない。うしろ信じてくれて嬉しかったのに。それなのに零士君は頭を上げてくれない。
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