政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「もとはと言えば、もっと早くに俺が綾子に毅然とした態度を取っていればよかったんだ。そうすれば綾子も、こうして家を訪ねてくることもなかったはず」

 ゆっくりと顔を上げた零士君は、苦しそうに顔を歪めた。
「まさか綾子が自分で珈琲をかぶって、それを凛々子のせいにするなんて……。本当にすまない」

 何度も謝罪の言葉を繰り返す姿に、胸が痛む。

 零士君は今、どんな思いでいるのだろうか。笹野さんとは昔からの顔なじみだったんでしょ? 付き合ったこともあるんだもの、きっとショックだったよね。でも……。

「謝らないで、零士君。私、すごく嬉しかったから」

「えっ?」

 目を見開いた彼に伝えた。

「だって零士君は私のことを信じてくれたんでしょ? それがどんなに嬉しかったか」

「凛々子……」

 本当に嬉しかった。どんなことよりも。

 喜びを噛みしめていると、零士君は私との距離を縮め、ふわりと笑った。
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