政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 痛い、苦しい、つらい。

 悲痛な思いが押し寄せてきて、胸が痛くて仕方がない。

 声を押し殺して泣き続け、どれくらいの時間が過ぎただろうか。

 少し涙も止まってきた頃、いきなり腕を掴まれた。

 びっくりして顔を上げると、膝をついて心配そうに私を見つめる零士君がいた。

「零士、君……?」

 どうして彼がここに?

 学生の私とは違い、零士君はもうおじさんの会社で働いている。しっかり下積みをするべく、重要なポジションに就くのではなく、一社員として営業部に配属され、営業のノウハウから学んでいるとお父さんたちが話しているのを聞いたことがある。

 今日は休日なのにスーツを着ているってことは、仕事だったんだよね?

 ネクタイは緩んでいて、綺麗にセットされていたはずの髪は乱れている。それに、なぜ今にも泣きそうな顔をして私を見るの?

 出会って十年以上経つというのに、零士君のこんな顔を見るのは初めてで、戸惑いを隠せない。

 すると零士君は私がケガしていることに気づいた。
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