政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「血が出てるじゃないか」

「あっ……」

 咄嗟に手のひらを見ると、すっかり血は止まって渇いていた。だけど零士君は苦しそうに顔を歪める。

「行こう」

「行くって、どこに? きゃっ!?」

 零士君は素早く私の肩と膝の裏に手を回して、軽々と抱き上げた。

 一瞬なにが起きているのか理解できなくて、茫然となる。その間も零士君は周りの視線など気にすることなく、私をお姫様抱っこしたまま歩を進めていく。

 いったいなにが起こっているの? 今こそ夢じゃない? だって零士君が私を心配して、お姫様抱っこするなんて――。

 大通りに出ると、零士君は一台のタクシーを停めて私を乗せると自分も乗り込んだ。

「コンビニがあったら、寄ってもらっていいですか?」

「わかりました」

 運転手はゆっくりと車を走らせていく。

 静かな車内で、何度も見てしまうのは零士君の横顔。

 なぜ? どうして? ばかりが頭の中で溢れる。

「知りたいか? 俺がどうして今、ここにいるのか」

 前を見据えたまま言った零士君にドキッとなる。
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