政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 入国審査を経て降り立ったパリの街。まずは荷物を宿泊先のホテルに運んでもらえるよう手配をして、さっそく観光に乗り出した。

「うわぁ、すごい」

 パリ観光で代表的な移動手段である、メトロ・バス・トラム、いわゆる路面電車に乗って、パリの街並みが見えてくると思わず声が漏れる。

 高校生の時に訪れた時も感じたけど、古き良きパリの街並みは本当に美しい。『花の都』と呼ばれているだけあるよね。

 まるで子供のように興奮し、次々と移ろいゆく景色を眺めていると、隣からは「クククッ」と笑い声が聞こえてきた。

 零士君を見れば、口元に手を当てて必死に笑いをこらえている。

 やだ、私ってば零士君がいることも忘れてすごくはしゃいでしまった。

 一気に恥ずかしくなり、姿勢を戻した。すると零士君は意地悪な顔をして聞いてきた。

「いいの? 景色を見なくて」

「うん、大丈夫」

「子供みたいにはしゃぐ可愛い姿をもっと見たかったのに」

「……っ」

 ムッとなって彼を見れば、零士君は意地悪な顔をしたまま私を見つめていた。

「凛々子が楽しそうだと俺も楽しいからさ。俺のこと気にせずはしゃいでいいよ?」

「気にするよ」

 そんな顔で見つめられたら余計に。
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