政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 唇を尖らせて文句を言うと、零士君は顔をクシャッとさせて笑った。

「アハハッ。そっか、ごめんごめん」

 そう言って頭を撫でられると、ますます面白くない。

 ジロリと睨むと、零士君は嬉しそうに目を細めた。

「凛々子には悪いけど、そうやって感情を露わにしてくれることがすごく嬉しいんだ。……これまでは凛々子、常に俺の様子を窺って、いつも無理して笑っていただろ? だから素の凛々子を見せてくれてすごく嬉しい」

 そういえば私、いつから零士君に対して、気遣うことも無理して笑顔を取り繕うこともしなくなったんだろう。

 それに今、彼に対して怒りを向けちゃったよね? 本当、半年前の自分には想像さえできないことだった。

 でもそれが嬉しいだなんて――。

 優しく微笑む彼を見たら、さっきまで感じていた怒りなど消えてしまう。
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