政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 たしかに零士君にカードを渡されても、申し訳なくて受け取らなかったと思う。仕事はしていないけど、大学四年間ずっとバイトをして貯めたお金があるし、しばらくは自分で遊ぶお金くらい払えるもの。

「だから気にしなくていいんだよ。お兄ちゃん、けっこう稼いでいるから甘えちゃおう」

「うん」

 それに千鶴ちゃん、もう店員にカードを渡しちゃったし。今さら取り消すこともできないよね。

 帰ったら零士君にお礼を言わないと。

 支払いを済ませて店を出ると、千鶴ちゃんは私の腕に自分の腕を絡ませた。

「さて、凛々子ちゃん。お腹も満たされたし、今度は買い物といきましょうか」

「いいよ、付き合うよ」

 私はとくに欲しいものはないけど、見るだけでも楽しいし。

「違うよ、私じゃなくて凛々子ちゃんの服を買いに行くの」

「私の?」

 びっくりして自分自身を指差せば、すかさず千鶴ちゃんはさっきのクレジットカードを出した。

「言ったでしょ? お兄ちゃんからカードを預かっているって。今度お兄ちゃん、凛々子ちゃんをデートに誘うつもりらしくて、その日の服を選んでこいって言われたの。とびっきり可愛い凛々子ちゃんをリクエストされたから、頑張らないと!」

「えっ? ちょっと千鶴ちゃん?」
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