溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「家賃がかかってないせいで余裕があるんだから、完全にスネかじってないかって言われりゃ微妙だけどな」
「まぁそこはハウスメーカーの御曹司だから。っていうか、なんで急に車買う気になったの?」
都内に住んでいれば、特に車が必要だと思う機会は少ない。
蓮が車好きだという話も聞いたことがなかったし、今まで持っていなかったのなら必要に迫られてという訳じゃなさそう。
何の気無しに聞いてみると、思ってもみなかった理由が返ってきた。
「…爽がお前助手席に乗せてんの、腹立ってたから」
――――え、まさかそれだけのために買ったの?
ここで御曹司感出してくる?想定外なんだけど。
冗談だよね?と運転席の方を見やるが、車を発進させた蓮は私の視線に気付かないのか無視を決め込んでいるのか。
「仕事中の社用車だよ?」
「関係ねぇ」
「…拗ねてます?」
「黙秘」
「ふふ、それほぼ認めてるようなもんなんでしょ」
いつかの意趣返しでそう言えば、こちらを見ないまま全く痛くないデコピンを繰り出してきた。
「ふふっ、ソフトツッコミ罪」
ちょっとしたヤキモチがくすぐったいけどすごく嬉しい。
会えない時間に燻っていた寂しさが、この短時間で一気に解消されていく気がした。