あの夢の続きをもう１度描けたら

「ははっ、泣くなよ」


まだ泣いてもないのに、ユキがそう諭す。

ユキの優しい声音でとうとう涙腺が崩壊してしまった。


「うぅ〜っ、むりだよぉ……っ」

「でもな、まだ名前呼んだだけなんだけど」

「それは、ユキが優しいから……っ」


ぼろぼろ、と収まることを知らない涙を何度も拭う。

目を袖で擦って、何度も、何度も。


「あんまこすんなよ。ほら、おいで」


わたしはユキの方へ行き、彼の近くで再び泣き始める。


そうすると、ユキは優しくわたしの腕を引いて抱きしめてくれた。

そして頭を片手で撫で回してくる。


「ありがとな。助けてくれて」

「違っ、助けてなんかない……っ。わたしの方が、いつもいつも……」


頭から聞こえる声音は穏やかで柔らかった。

その声に導かれるように自然と素直な気持ちを伝えられるのだが、嗚咽を漏らしてしまい言葉が詰まる。