純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
吉原遊郭の中にある光晶屋は装飾品を扱っており、遊女たちにとっても必要不可欠な店だ。睡も玉響や四片と連れ立って簪を買ったことがある。
そこの番頭なら顔見知りだし、遊郭にさえ行ければ店の場所もわかる。自分も役立てるかもしれない。
「私、届けに行きましょうか。私が抜けてもお店は回りますし」
意気込んで名乗りを上げると、有美は目をしばたたかせた。
気持ちはありがたいが、吉原は女性はあまり寄りつかない場所。睡が花魁だったことはまだ明かしていないため、いくら仕事の一環だとしても有美には抵抗がある。
「ありがとう、睡ちゃん。でも、吉原だよ? 女の子ひとりで行かせるわけにも……」
「俺も一緒に行きますよ」
遠慮する有美と睡の間に、兼聡が割って入った。
「それなら安心でしょう。俺と一緒なら大門切手を手に入れるのも楽だろうし、むしろなくても大丈夫かも」
「兼聡さん……!」
ありがたい助け舟を出され、睡は表情を緩めた。
吉原唯一の出入り口である吉原大門は、番人が常駐して厳しく見張っている。男性は出入り自由で、女性も入ることは可能だが、出るには大門切手という通行証をもらわなければならない。