純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
用事を済ませたところで四片探しを再開するも、見つけられないまま藤浪楼の近くまで来てしまった。ふたりして諦め気味に小さく息を吐く。
「四片さん、いませんね。俺が見世に行って声かけてきましょうか?」
「うーん……」
どうしようかと逡巡しているときだった。睡の視界の端に淡い紫色の着物が映り、そちらを振り向く。
視線の先に、先ほどと同じ大振りな花柄の着物を纏った遊女が、下駄を鳴らして気だるげに歩いてくる姿を捉えた。
「四片……!」
睡が思わず名前を口にすると、気づいた彼女が目を見開く。
「え……睡、蓮?」
足を止め、半信半疑な様子で凝視する四片は、先ほどの兼聡とまったく同じ反応だ。
無事再会できたふたりに兼聡はほっとした様子で、睡に「俺、そこの茶屋で待ってますね」と告げてその場を離れていく。睡はそれを見届け、「四片!」ともう一度呼びながら駆け寄った。
近くに来てようやく見間違いじゃないと実感したらしい四片は、睡の両腕を掴んで驚きの声を上げる。
「睡蓮、なんでここに!?」
「たまたま用があって、光晶屋に行ってきたの。もしかしたら四片がいるかもしれないって探してたんだけど、会えてよかった」