純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
鼻を啜った四片は、涙目のまま心配そうに問いかける。
「身請けされた旦那様とは、うまくやれてる? 都合のいい愛人にされてない?」
昔は身請けをするような男性には正妻がいることが多く、花魁は妾や後妻にされるのがほとんどだった。それでも廓から出られるのならそのほうがいいと四片は考えていたが、やはり睡には女として幸せになってもらいたい。
その思いを汲み取った睡は、偽りのない笑みを向ける。
「大切にしてもらってる。心配しないで」
睡の笑顔に疑う部分は見出せず、四片もようやく口元をほころばせ、「よかった」と胸を撫で下ろした。
それから少しの間話をして、また絶対会いに来ると約束をして別れた。女将や他の皆には、自分が来たことは一応内緒にしておいてほしいと頼んで。
仲直りができてすっきりした睡は、四片との再会を兼聡と喜び合いながら、足取りも軽やかに吉原をあとにした。次はいつ来られるかわからないが、門番にも話は通してもらえたので幾分か出入りしやすくなっただろう。
再びバスに乗り込むと、睡は気を楽にしてずっと思っていたことを言う。