純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

「兼聡さんって私より年上ですよね? もっと気軽に話してくれていいんですよ」


 確か、彼は二十一歳のはず。仕事のときはいいとして、睡が花魁を辞めた今も敬語のままなので、なんだか他人行儀な感じがして寂しいのだ。

 兼聡はぽりぽりと頭を掻き、遠慮がちに答える。


「そう、なんだけど……睡さんはやっぱり俺の中で尊い存在というか、気安く接するのが難しいというか」
「さっきは抱きしめたのに?」


 いたずらっぽく返すと、可愛らしい顔がみるみる赤くなる。彼は口元に手を当て、「それは忘れて……」と呟いた。

 抱きしめられたときはかなり動揺したが、単に再会できた感動が体現されただけなのだろうと思い、睡は無邪気に笑った。

 兼聡は頬の赤みが引いた頃、真面目な表情になって口を開く。


「睡さんを身請けした人とは、どうなりましたか?」


 それは、兼聡も今日ずっと聞きたかったことだった。

 女将が気に入っていた色男が、あっさりと大金を払って睡を奪っていったのは知っているが、彼のものになったとは限らない。それを確かめたかった。
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