純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
(まさか、最近帰宅が遅かったのはケーキ作りの練習をしていたから? 俺を喜ばせたくて?)
なにかを隠している素振りだったのも、ケーキをいらないと言った理由にも納得すると同時に、どこまでも健気な彼女に胸が強く締めつけられた。
内緒で精一杯作っていたこのケーキには、きっと彼女の愛情がたっぷり込められているのだろう。それが無になってしまうと感じて子供のように泣く姿にも、愛しさが胸の奥から突き上げてくる。
「君は本当に……いじらしいな」
内から込み上げる気持ちが優しい声となってこぼれ、わずかに眉を下げて微笑んだ。そして睡の手を取り、ケーキを箱に戻す際にクリームがついた彼女の指を自分の口へ持っていく。
冷たい指先を口に含むと、驚いた睡は身体をびくりと震わせて「ひゃっ」と小さな悲鳴を上げた。目をまん丸にする彼女は、一時的に涙が止まっている。
クリームがついた部分に舌を這わせ、すべて綺麗に舐め取った。濃厚な甘さが広がる口で「美味い」と呟き、睡と視線を絡め合う。
「ありがとう。多少形が崩れていても問題ない、気持ちは十分伝わったよ。君が俺を愛してくれていることも」