純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「……えっ!?」
声を裏返らせる彼女に、時雨は小首を傾げて含みのある笑みを向ける。
「違う? 俺が君に惚れ込んでいるからそう感じるだけか」
涙に暮れていた睡の顔は、みるみる気力を取り戻して頬が染まっていく。
時雨はとっくに気づいていた。睡を妻にしたときから、確かな愛が自分の中に芽生えていたことに。
夫という立場は関係なく、ただひとりの男として、純粋で美しい笑顔と心をずっと守っていきたい。仕事や妻としての生活、すべてにおいて一生懸命向き合って生きている彼女が、いつの間にか愛しくてたまらなくなっていた。
その想いを受け取ったかのように、睡はまた泣きそうになって小さく首を横に振る。
「違わない、です。……好きです。時雨さん」
暗い夜道の真ん中できらきらと睡の笑顔が輝いた瞬間、時雨は顔を近づけて唇を奪った。
冷たく、涙の味がする。なのにとても甘美に感じ、心が温かくなった。
触れるだけの接吻をして、恥ずかしそうに俯く彼女に笑みをこぼす。今夜は遠慮はしないと決め、「続きは帰ってからにしよう」と囁いた。