純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
睡蓮は十八歳にしては落ち着きがあり、かつ純粋な性格の持ち主だ。透明感のある肌や黒目がちな大きな瞳、所作なども美しく、ゆくゆくは玉響に匹敵するくらいの人気が出るだろうと目されている。
なにより男たちを惹きつけるのは、睡蓮の背中に生まれつきある蝶のような形の小さな痣だ。珍しいから売りにしたらどうだと誰かが言い、いつの間にか噂が噂を呼んで、それをひと目見たいと望む男たちが現れるようになった。
そんな彼女に真っ先に目をつけていたのが岩政であり、『お前が玉響についていた頃から気に入っていたようだよ』と、藤浪楼の女将が鼻高々な調子で言っていた。
それを聞いても嬉しいという感情は湧かないが、彼には人のよさが滲み出ていたので、なんとなく信頼できそうな気がする。そう直感した睡蓮は、先ほどの質問に答える。
「穏やかそうで、体格のいい人だった。シロクマ、みたいな」
「へ~、可愛いじゃん」
可愛い?と、睡蓮は心の中で反芻し、あっけらかんとしている四片に微妙な笑いをこぼした。シロクマのぬいぐるみを思い浮かべているなら大違いなのだが。