純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
そんな岩政と、あと二度会ったら夜を共にすることになる。
気に入らなければ断ることもできるが、花魁になりたての睡蓮にはまだそこまでの勇気はない。あまりに態度の悪い客は女将が追い返すこともあるが、今回受けた彼の印象もよかったようだし、おそらくこのまま馴染みとなるだろう。
先のことを考えるとやはり憂鬱で、睡蓮は箸を置いて真面目に問いかける。
「四片は、初めてのときどうだった? 怖くなかった?」
指についたあんこを舐め取っていた四片は、奥二重の瞳をあさっての方向に向け、ふた月前の初見世に記憶を遡らせる。
「全然怖くなかったとは言えないけど、好奇心のほうが強かったからなぁ。幸い丁寧にしてくれる人だったから、そこまで痛くはなかったし。一緒に楽しんでたかも」
「さすが……」
睡蓮にとっては不安しかない初体験だが、彼女はまんざらでもなかったらしい。尊敬して唸る睡蓮に、四片はどこか諦めたようなため息交じりに言う。
「前向きに考えるしかないよ。どうやったって、好きな人に処女は捧げられないんだしさ」