純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「私も気にはなるんですけど、服を合わせるのが難しそうで……」
「俺が洋装の君を見たいんだ。行こう」
そう言って微笑まれては拒否できず、睡は素直に手を引かれて服屋へ連行されていった。
結局、高級そうな店で裾がふわっと広がる小花柄のワンピースを買い与えられた。実際に着てみるとなかなか似合っていると睡自身も感じ、なんだかんだ言いつつ新鮮でとても嬉しかった。
満足げな時雨には『服を贈るのは〝これを脱がしたい〟っていう意味だ』などと言われ、その晩に有言実行されてしまったが。
新年のめでたい空気もだいぶ落ち着いた睦月の中旬、睡はまたしても吉原にやって来た。今回は仕事ではなく、休日の買い物がてらにひとりで立ち寄ったのだ。
道順もバスの乗り方も覚えたし門番にも話は通っているので、もうひとりでも特に問題はない。しかしやはり時雨は心配らしく、帰りは仕事の合間を縫って迎えに行くと約束させられた。
吉原へ行く目的は、もちろん四片に会うためである。
彼女はだいたい週の真ん中の午後三時頃、仲之町の通り沿いの茶屋で甘味を食べるのがお決まりだ。それに合わせて茶屋へ行くと、今回は難なく会うことができた。