純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「絶対に誰にも見つからないように抜け出せる方法を考えて、私が迎えに行くから。そのあとも安全に暮らせる場所を探すし、髪型も服装も変えればバレな……」
「いや、無理でしょ」
睡もわりと本気になって話しているのに、当の本人に真顔でばっさり断ち切られた。
仏頂面になる睡を見て、四片はぷっと噴き出す。「あははっ」と笑う彼女は、いつもの明るさを取り戻し始めている。
「睡蓮、ちょっとだけ変わったね。絶対反対されると思ったのに、足抜けを手伝おうとするなんて」
「だって、放っておけないよ」
心配そうな表情をする睡に、四片は穏やかに微笑む。
「ありがとう。あんたに片棒担がせるわけにいかないし、やっぱり無謀だなって逆に冷静になれたわ。私も瑛一さんに身請けしてもらえるように、もっと女を磨くしかないね」
大きな口を開けて残りの大福を放り込む彼女からは、吹っ切れたような清々しさを感じた。
睡が神妙な顔で見つめていると、四片の優しい眼差しが向けられる。
「素敵な人に身請けしてもらえた睡蓮が羨ましいのは本音だけど、その何倍も嬉しいんだよ。今あんたが幸せで本当によかったと思ってる」