純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 若い女性にここまで楯突かれるとは思ってもみなかったのだろう。男たちはこめかみに青筋を浮き立たせ、みるみる憤りを露わにする。


「なんだ、この女……お高く留まりやがって」
「つべこべ言ってないでさっさと来い!」


 大柄な男が睡のほうへ手を伸ばしてきたので、兼聡は咄嗟に「やめろ!」と叫び、男の腕を掴んだ。しかし、体格差では圧倒的に相手のほうが勝っている。

 男が手を振り払い、逆に拳を振り上げる。兼聡は身構え、睡は彼を逃がすために押し退けようとした。

 ──次の瞬間、大柄な男が横に吹っ飛んだ。「うっ!?」と苦しげな呻き声を漏らして地面に転がり、周囲が騒然とする。

 兼聡も睡も、なにが起こったかわからなかった。もうひとりの強面の男が、「てめぇ!」と憤慨して向かっていくほうを見やり、睡は目を見開く。


「時雨さん……!」


 男が殴りかかる先にいるのは、冷静沈着な時雨だった。拳が当たりそうになって睡は小さく叫んだものの、顔を少しずらして避けた彼はすかさず胴に一撃を与え、腕を捻り上げた。

 痛みで声を上げる男を、時雨は先ほど転んだ大柄な男のほうへ放り投げる。彼は首の辺りに蹴りを入れられたらしく、そこを押さえている。
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