純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 帰宅するなり、ふたりは示し合わせたように寝室に向かった。

 茜色から藤色に染まっていく空が、無造作に脱ぎ去った着物とスーツをぼんやりと照らす。今が何時なのかも忘れ、ふたりは夢中で身体を繋げる。


「はぁ……あ、んっ」
「睡……っ」


 時雨の扇情的な声や仕草が、いつもに増して強い快感を与える。敏感な部分を愛撫されつつ揺さぶられる睡は、身体の中心からなにかが迫り来るような感覚を覚え、咄嗟に彼の腕を掴んだ。


「あっ、待っ、て……!」


 時雨は一度動きを止め、余裕のなさが表れた瞳で、はあはあと肩で息をする睡を見下ろす。


「達しそうか?」


 呼吸を乱す彼に赤裸々に尋ねられ、睡は真っ赤な顔を手の甲で隠しながら曖昧に頷く。


「気をやってはいけないと教えられてきたから、ちょっとだけ抵抗が……妊娠するかもしれないとも言われていたし」


 遊郭では、絶頂に達するのは避けるべきだと教育されていた。下級の遊女はひと晩に何人も客を取るため身体が持たないという現実的な理由があったが、気をやると妊娠してしまうという言い伝えもあったのだ。
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