純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
つられて茶化したが、四片は切なさが入り交じった穏やかな顔で頷き、「あったかいよ、人肌って」と、しみじみと返した。
すでに行為を経験している彼女の声色からは、複雑な心情が感じ取れる。その表情もとても大人びて見え、睡蓮は少しはっとさせられた。
すると、四片はおもむろに睡蓮の近くにすり寄って、彼女の華奢な肩を抱く。
「いいお客さん見つけて、身請けしてもらえるようにがんばろ。それが無理でも、年季が明けるまでなんとしても耐える。生きてここを出ようね、絶対」
しっかりとした口調で言われ、睡蓮の脳裏に今は亡き姉女郎の姿が過ぎる。
禁断の恋をして、死を選んでしまった玉響。彼女の気持ちは、恋をしたことのない睡蓮はいまだ完璧に理解できずにいる。なにが幸せなのか、答えはまだ見つからない。
でも生きてさえいれば、いつか人生が好転して、幸せを手に入れられるかもしれない。だから、どんなにつらくても希望は捨てないでいよう。
睡蓮は心に決め、まっすぐ四片を見つめ返して「うん」と頷いた。