純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「睡蓮ちゃんは、今幸せ?」
目を開けるとふいに問いかけられ、睡はほんの少しためらいつつも「はい」と頷いた。
玉響の前でそう答えるのはなんとなく後ろめたさを感じるが、なにも悪いことではない。時雨も言っていた通り、自分の幸せをおろそかにはしたくないから。
瑛一は穏やかに微笑む。
「それならよかった。玉響はずっと君を気にかけていたから、きっと向こうで安心してるよ」
おそらく玉響を一番理解していた彼が言うのだから出まかせではないだろうし、そうであってほしい。彼の言葉にも救われ、睡は心が少し軽くなるのを感じた。
「僕もそろそろ、自分の幸せを考えないとな」
瑛一は、続けてひとり言のようにぽつりと口にした。
彼も玉響の死に囚われて、新たな一歩を踏み出せずにいるのかもしれない。〝自分の幸せ〟の中に、四片のことも含まれているのだろうか。
まず彼に恋愛感情があるのかどうかが気になり、睡は複雑な表情で静かに問いかける。
「……四片のことは、どうなさるおつもりですか?」
瑛一の気持ちを確かめたくて、少々試すような質問をしてしまった。それに加え、四片の恋心まで感づかれそうな言い方だったかもしれない。