純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「睡、君は誤解している。玉響……玉紀は、俺の腹違いの妹だ」
言い聞かせるように口にされたのは、まったく想像もしなかった事実。睡は大きく目を見開く。
「妹……?」
「ああ。父親も俺も、玉紀の存在を知ったのは彼女が遊郭に入る少し前でね。初対面のときに一度会ったきり行方がわからなくなって、再会したのは彼女が花魁になってからだった」
玉響の本名は玉紀で、父親が同じ異母兄妹。新たな情報が、思考停止寸前の睡の脳に次々と入ってくる。
「藤浪楼に入ったことはないが、玉紀が心配で会ってはいたよ。簪やネクタイピンを買ったのもそのときだ。ただ、俺はすべて妹としてしたことで、それ以上の感情があったわけじゃない」
静かに打ち明けられて、睡は初めて瑛一が言っていた〝決して結ばれない〟という本当の意味を理解した。
花魁に恋愛はご法度だからだと思っていたが、実際は相手が半分血の繋がった兄だからだったのだ。
「睡が妹女郎だというのも知らなかった。君の名前は一切出なかったから。さっきたまたま兼聡くんに会って、そこで聞いて驚いたよ」
「そう、だったんですか……。そういえば私も、姉さんの名前を出したことはありませんでしたね」