純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 睡は彼が語るのを聞き、だから『事実を知ったら、君は後悔するかもしれない』と忠告したのだと腑に落ちた。

 時雨も納得している様子だが、まだ気になることがあるらしく瑛一に問いかける。


「富井さんは、玉紀の馴染みだったのですか?」
「ええ。それ以上でも以下でもなく……でも、玉響の気持ちは他の人よりかは理解していたと思っています」


 瑛一の切なげな表情からは、玉響と愛し合っていたわけではなくても、互いにとって特別な存在だったのだろうと感じ取れる。

『彼に会えてよかった』という玉響の言葉に嘘はなかったのだろうと睡が推測していると、瑛一の顔に真剣さが帯びていく。


「やはりふたりには真実を話しておこうかと。彼女から口止めされていたから迷いましたが」


 妙な緊張が走り、睡と時雨は息を呑む。


「玉響は、おそらく脳の病気を発症していて、どのみち長くはなかったと思います」


 瑛一の口から語られた思いもよらぬ事実に、ふたりは言葉を失い瞠目した。


(姉さんが、脳の病気だった? そんな素振りは……)


 動揺を露わにしつつ記憶を遡らせる睡は、玉響が亡くなる数日前から月のもので具合が悪そうにしていたのを思い出した。
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