純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
当時は疑いもしなかったが、まさか本当は別の病気だったのだろうか。
「彼女の死は避けられないもので、それを本人も自覚していたんです。だからというわけではありませんが、もしふたりが罪悪感を抱いているなら、自分を責める必要はないのだと伝えたくて」
「そ、んな……」
睡の震える声が漏れた。時雨は表情を強張らせて絶句したままだ。
瑛一も伏し目がちになり、言葉を選びながら続ける。
「時々眩暈や頭痛に襲われると言っていたけれど、病院へ行くのも拒否して、自分で死に場所と時を選んだ。彼女は〝誰にも干渉されない自由〟を求めて旅立ったのだと、僕には思えました」
睡はずっと、玉響は愛する人と一緒になれない人生に絶望して死を選んだのだと思っていた。しかし実際は少し違い、死期を悟っていたからこそ、せめて自分が望むときに命を絶とうとしていたようだ。
「姉さんは、悲観して死んだわけではなかったと……?」
「最期に会ったときも、負の感情は感じられなかったよ。とても美しい表情をしていたからね」
呆然としつつ確認する睡に、瑛一は眉を下げて微笑みかける。