純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「でも、死んでしまった者の気持ちを知る術はないし、結局は生きている人間が推測することしかできない。だったら僕は、玉響をかわいそうな人にはしたくないな」
彼の言葉で、睡は心に落ちていた影がすうっと薄れていくのを感じた。
玉響が本当はなにを思ってあの世へ旅立ったのか、真実は本人しか知らない。無論、結ばれた睡と時雨をどう思うのかなど永遠にわからない。
それなのに勝手に自分を責めたり、玉響の人生の最期は悲しいものだったと決めつけたら、それこそ彼女は報われないだろう。
いくらか表情が和らいだ時雨も、瑛一に同調して「そうですね」と静かに頷く。
「幸せだったとは言い切れないかもしれないが、あの子が精一杯生きたのは確かだ。それに、俺たちの幸せを恨んだり、責めたりするような人じゃないだろう、玉紀は」
「……私もそう思います」
時雨に優しい瞳を向けられた睡は、ようやく自然に口元が緩めることができた。
手を繋ぎ直すふたりを、瑛一は温かく見守り、ひとつ大きく息を吐き出す。