純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 晴れ晴れとした気分で車に乗り、十五分ほどで呉服屋に着くと、さっそく瑛一が出迎えた。


「ようこそおいでくださいました。どうぞ、お二階へ」


 当主として振る舞う彼に促され、ふたりは二階へ上がる。瑛一が座敷の襖を開くと、花魁の気だるげな雰囲気とはまた違う、凛とした着物姿の四葉が真っ先に目に入った。


「四葉……あれっ!?」


 たいして日は経っていないが再会を喜びながら座敷へ上がろうとした睡は、四葉のそばに座っていた人物に気づいて目をまん丸にする。睡のほうを振り向いて微笑むのは兼聡だ。


「兼聡さん! どうして?」
「こんにちは、睡さん」


 立ち上がって会釈する彼に、とりあえず「こ、こんにちは」と挨拶を返したものの、状況が呑み込めない。挙動不審になる睡に、四葉が近づいて肩を抱く。


「睡、元気そうでなにより」
「あ、うん、四葉も。ねえ、今日は一体……」


 なにが行われようとしているのか聞こうとしたとき、部屋の端に真っ白な着物がかけられているのに気づいた。花の刺繍が美しい、真珠のような輝きを放つ白無垢だ。
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