純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―

 とはいえ、式をしないのであれば着る機会はないではないかと、睡は疑問を抱く。


「でも、結婚式はしないんじゃ……」
「祝言を挙げないと言っただけで、神前式をしないとは言っていない。そのふたつは別物だぞ」


 したり顔をする時雨に、睡は目をしばたたかせた。

 確かに、神前式は神社で神様に誓いを立てるもので、自宅で行う祝言とは違う。しかし、どちらも結婚の儀式であることに変わりはないため、睡は結婚式自体しないものだと思い込んでいた。

 時雨の表情を見るに、睡が勘違いしているのを知っていて、あえて訂正しなかったのであろうことが窺える。

 ここにいる皆だけでなく、菊子も妙ににやけていたところからして、睡以外は神前式を行うと知らされていたのだろう。


(私だけ内緒にされていたってこと? やっぱり意地悪……だけど、やっぱり大好き)


 まんまと驚かされたのはちょっぴり悔しくて頬を膨らませるも、夢を叶えようとしてくれている彼への愛おしさは隠しきれず、すぐに破顔した。

 四葉たちに冷やかされて照れている睡を横目に、瑛一が時雨に向かって口を開く。
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