純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「あとねあとね、あかちゃんにもあったんだよ! こーんなにちっちゃくて、おめめがにこあって、すごいかわいかったの」
林檎くらいの大きさを手で示し、目がふたつあると当たり前のことを言う、そんな娘が可愛いと、両親ふたりは内心悶えてしまう。
時雨は揚羽を床に降ろして同じ目線にしゃがみ、彼女の小さな手を取って睡の腹にそっと当てる。
「揚羽ももうすぐ会えるぞ」
「うん! なまえは?」
「まだ迷い中」
いくつか候補はあり、最終的に顔を見て決めようと話しているのだ。
産まれるまで性別もわからないが、睡は胎動や腹の膨らみからなんとなく男の子ではないかと感じている。揚羽のときは勘が当たっていたので、ふたり目もそうなったらとても神秘的だ。
お腹に耳を当てながら「そっかぁ」と呟いた揚羽は、なにかを思い出したようにぱっと顔を上げる。
「さっきのあかちゃん、おなまえ〝たまきちゃん〟なんだって」
睡と時雨は目を見張り、一度顔を見合わせた。