純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
そのまま手を引かれ、緩やかに曲がる階段を上って二階に連れて行かれる。ひとつの部屋の扉が開かれると、ベッドや鏡台が置かれた寝室になっていた。
ここでなにを確認するのだろうと戸惑う睡と、涼しげな顔を変えない九重が鏡台の鏡に映る。
「少し着物を脱いで、背中を見せてくれ」
突然告げられた思いもよらない言葉に、純粋な瞳が大きく見開く。
「えっ!?」
「なにもしない。痣を見るだけだ」
「で、でも……」
「できないなら私が脱がせる」
躊躇う睡に、九重は有無を言わさず近づいてくる。後ずさりするもすぐに鏡台にぶつかり、彼の長い指が帯締めに伸びる。
痣を見てどうしようというのか。遊郭に来ていた客のように事に及ぶわけでもなさそうだが、まだなにも知らない男に背中をさらすのは抵抗がある。
しかし、どことなく威圧感があって帯を緩める手を止めることもできず、されるがまま解かれてしまった。腰紐だけで留めた状態で、衿を緩められる。
男性に着物を乱された経験などない睡は、肩に手が触れただけで鼓動が異常なほど速くなる。
胸の前くらいははだけないようにと、衿を合わせて強く握りしめ、背中が空気に触れてひんやりするのを感じながらぎゅっと目をつむった。