この恋が手遅れになる前に
「私……そこまで価値のある人間じゃない……」
「あなたが好きです。そばに居られるなら代わりでもいい。いつか俺があなたの一番大切な男になるのを待ちます」
章吾さんに離れられた私には優しすぎる言葉だ。
ここまで言ってくれる本田くんの声は必死だ。この子だって今にも泣きそうなのかもしれない。
「そんなこと言われたら甘えちゃうじゃん……」
「甘えてください。俺本当に余裕ないんです。今夜は古川さんを帰したくありません」
本田くんは顔を傾けて私の首にキスをする。先ほどの唇を貪るようなキスとは違って優しくて、思わず吐息が漏れた。
「奏美さん」
下の名前で呼ばれて胸がぎゅっと締め付けられたように苦しくなる。
「俺に抱かれてください」
耳元で囁かれる甘い言葉と首への刺激で意識が朦朧としてきた。
自分がまたこんな風に求められるなんて思っていなかった。あっさりと離れた章吾さんの代わりにしていいだなんて、そんなことを言われたら依存してしまう。
「悲しませるようなことはしません」
これが章吾さんの言葉ならどれだけ嬉しかったことだろう。
寂しさを埋めてと望んでしまうのは、全部お酒のせいだ。
「拒否しないってことは、承諾したと受け取りますよ?」
だめだ……拒否しなくちゃいけないのに、正常な判断ができない。
「うん……」
たった一言発しただけで本田くんは私の手を引いて部屋の奥に招く。
キスをされ、ブラウスのボタンをゆっくり外されるとベッドに優しく寝かされる。
「奏美さん」
熱を込めて名前を呼ばれ、体中を本田くんの唇が這う。それでもどこか迷うようにゆっくりと進めていくのがまるで支配されていくようでゾクゾクする。