この恋が手遅れになる前に
私は何をしているのだろう。この子は会社の後輩で、恋人じゃないのに……。
今夜本田くんと飲みに行ったことを後悔しながらも与えられる快楽と肌の感触に溺れた。
「シャンプーとかドライヤーも適当に使っていいんで」
「はい……」
体を密着させながら本田くんは私の頬に何度も口付ける。
「着替えは俺の貸すんで置いときます」
「もう帰るから……大丈夫だよ……」
体を重ねても、飽きないのかベッドの中で体中を撫で回すから私の声が震える。
「終電はとっくにありませんよ。今夜はこのまま泊ってください」
「じゃあ……お世話になります……」
腰に回った本田くんの腕をゆっくり引きはがし、裸のままベッドから下りてバスルームに入った。
バスルームの中には本田くんが使っているのであろうシャンプーやボディーソープとは別に、女性向けのシャンプーとコンディショナーが置かれていた。ご丁寧にメイク落としのジェルまであった。どれも買ったばかりのようでボトルにフルで詰められている。それを見て動揺した。
ここまで用意されてるって、もしかして本田くん常習的に女性を泊まらせてるの? 彼女いたことないって言ってたけど……本気じゃない、体だけの関係の女性はいるってこと?
私も半ば強引に連れ込まれたようなものだ。酔ったふりをして女性と関係を持つことに慣れているのだろうか。私が好きだと言いつつ、所詮は気まぐれで抱いた女の一人なのかもしれない。
別にそれでいい。私も章吾さんを忘れるために本田くんのことを利用したのだから。
バスルームから出ると棚の上には本田くんのTシャツとスウェットが置いてあった。着てみると当たり前だけれど私には大きい。スウェットは押さえていないと落ちてきそうだ。