この恋が手遅れになる前に

ドライヤーを借りて髪を乾かすと、またベッドの上にいる本田くんのところに戻った。
部屋の明かりがついていて、一人暮らしには十分な広さの部屋は綺麗に片付いている。

本田くんは上半身を起こして顔を手で覆って何かを考えこんでいるようだった。
もしかして冷静になって私と関係を持ったことを後悔しているのかもしれない。
そりゃそうだよね、会社の人と勢いでヤッてしまったら猛反省もするよ。もしも本気で恋したって、章吾さんの時のように簡単に終わってしまうのだから。

「シャワーありがとう」

「あ……いえ……」

手を離して私を見た本田くんの顔は赤く、私を見ると更に耳まで顔を赤くした。

「っ……やっぱ奏美さんには大きかったですね……」

「うん。脱げそう」

本田くんにじっと見られ、緊張で体の前で手をモジモジと動かす。

「メイク落としとか……遠慮なく使わせてもらいました……」

「はい」

「あの……本田くん?」

「何ですか?」

「ごめんね」

謝罪の言葉に本田くんは目を見開いた。

「何に謝ってます?」

「本田くんやっぱ後悔してるのかなって……」

「は?」

苛立った声を出すから思わず体が小さく震える。

「章吾さんの代わりにしちゃってごめん……酔ってたなんて言い訳なんだけど……」

「連れ込んだのは俺ですよ。それに、奏美さんの口から部長の名前を聞きたくありません」

不機嫌な声音に増々緊張してくる。

「俺が後悔しているように見えました? 今夜奏美さんを誘うのに必死だったのに?」

「あの……」

「今めちゃくちゃ嬉しいです。ずっと奏美さんと付き合いたいって思ってたから」

「私たち付き合うの?」

今度は私が目を見開いた。そんな私の様子に本田くんも戸惑ったようだ。

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