この恋が手遅れになる前に
そう言って私の顔を引き寄せキスをする。反対の手は腰から太ももまでを服の上からくすぐるように撫でる。これは確実に手慣れている。
「本田くんって、いつもこんな風に女性を口説くの?」
「はい?」
「お風呂に女性用のシャンプーとかメイク落としがあったし、いつも誰かが泊まってるのかなって」
「違いますよ! 彼女いないって言ったじゃないですか!」
本田くんは慌て始める。
「彼女じゃなくても泊まらせる関係の女性とか……?」
私の言葉に本田くんの眉間にしわが寄る。余計なことを言ってしまっただろうか。
「あれは奏美さんのために用意したものです……」
「そうなの?」
「言いましたよね……こんな風に強引にアプローチしたのは奏美さんが初めてです……」
消え入りそうな声にこっちも顔が赤くなる。
「強引に連れてきて本当にすみません……今夜のことは前から考えてて……」
「もういいって」
食事に誘う段階から私をこの部屋に招く気だったと言いたいのだろう。聞いているこっちが恥ずかしい。
本当に本気なのだろうか。どこからが素でどこまでが女性を落とすテクニックなのだろう。
「俺もシャワー浴びてくるので先に寝ていてください」
「うん……」
バスルームに向かう本田くんの背中を見送って今度は私が両手で顔を覆う。
酔っていたとはいえ教育担当の新人と体の関係を持ってしまった。これはマズい。確実に大問題。たとえ本田くんから誘ってきたとしても。
いくつ歳が離れてるんだっけ……本田くんは22? 23? どっちみち5歳以上は離れてる。これからどう仕事をしていけばいいのか……。
本田くんがバスルームから出た気配がして慌てて布団にもぐる。
「奏美さん? 寝ちゃいました?」