この恋が手遅れになる前に

「まあ、あいつが高校生……いや中学生の時から知ってるから」

「そんなに前から? もしかして親戚?」

「違うよ。お前気づいてなかったのか? 中学の時からフラワーイベントのボランティアスタッフもしてたんだぞ」

「え?」

「うちにバイトで入る前から涼平はこの会社に関わってる。ある意味お前より先輩」

知らなかった。イベントにはボランティアも含めてスタッフがたくさん関わる。けれどさすがに正社員しか把握していないから涼平くんがいても気づかなかった。

「もしかして涼平くんって今年の入社前から私のこと知ってたのかな? 学生の時から?」

「まだ聞いてないの?」

「うん……バイトさんとは接することが少ないから……」

私は涼平くんのことを何も知らない。

「あいつも報われないな……」

政樹の呟きに言葉が詰まる。涼平くんはなぜ私を好きになってくれたのだろう。あの気持ちはいつからのものなのか。

「政樹は知ってたの? その……涼平くんの気持ちとか……」

「お前が好きだってこと?」

「うん……気づかなかったよ、涼平くんの気持ち」

やっぱり政樹は知っていた。私が気付いていなかっただけで政樹と涼平くんはかなり親しいのだ。

「あいつやっと言ったのかよ。まあ仕方ないか、お前章兄と付き合ってたしな」

「私と章吾さんが付き合ってたことを涼平くんが知ってたんだけど、政樹が言ったの?」

「俺じゃない。涼平がお前らを観察して気づいたんだろ。言っとくけど、かなり分かりやすかったぞ」

呆れた顔をする政樹に焦る。従兄弟の政樹はともかく涼平くんにも椎名さんにも章吾さんとのことが知られた。本当に他の社員にもバレているのではと怖くなる。

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