この恋が手遅れになる前に
◇◇◇◇◇
年末にかけて仕事が忙しいせいで涼平くんとゆっくり会う時間が無くなった。
何かと私を食事に誘ってくれるけれど、結局お互い残業があって約束は流れてしまうのだ。
「加藤さんめげないで! 細かくても加藤さんならできるから!」
「でもぉ……」
私は加藤さんのデスクにイスを持ってきて涙目になる加藤さんを精一杯励ます。
「新人は通る道なの! 頑張って!」
「もう無理です……年末なんて嫌いです……」
鼻をすすり始める加藤さんに溜め息をつきそうになるのを堪える。
毎年12月は各企業から注文を受けた門松の発注手配作業を1年目の新人が行う。他の新人は手いっぱいなので加藤さんに任せることにしたのだけれど、マイペースな彼女は次々とケースに入れられていく発注書の束に涙を浮かべる。
そこまで難しい仕事ではないけれど、加藤さんはどうやらExcelが苦手らしい。セルを挿入や削除したら別のセルの数量が変わってしまうことに頭がついていかない。
加藤さんの教育担当の社員は慶弔休暇で数日出勤してこない。仕方なく私が発注の仕方を教えることにしたのだけれど、加藤さんはマイナス思考な上にすぐに慌てるので作業が進まない。
「無理……混乱します……」
もう聞き慣れた弱音に周りの社員は呆れた視線を向ける。
こんな加藤さんの姿を見ると私は涼平くんの教育担当で良かったと思う。加藤さんの担当になっていたら毎日余計な残業確定だっただろう。
「古川さん、少し休憩してきてください。僕がサポートに入ります」
涼平くんが私の後ろから声をかけてくれた。
「そう? ありがとう」
年末にかけて仕事が忙しいせいで涼平くんとゆっくり会う時間が無くなった。
何かと私を食事に誘ってくれるけれど、結局お互い残業があって約束は流れてしまうのだ。
「加藤さんめげないで! 細かくても加藤さんならできるから!」
「でもぉ……」
私は加藤さんのデスクにイスを持ってきて涙目になる加藤さんを精一杯励ます。
「新人は通る道なの! 頑張って!」
「もう無理です……年末なんて嫌いです……」
鼻をすすり始める加藤さんに溜め息をつきそうになるのを堪える。
毎年12月は各企業から注文を受けた門松の発注手配作業を1年目の新人が行う。他の新人は手いっぱいなので加藤さんに任せることにしたのだけれど、マイペースな彼女は次々とケースに入れられていく発注書の束に涙を浮かべる。
そこまで難しい仕事ではないけれど、加藤さんはどうやらExcelが苦手らしい。セルを挿入や削除したら別のセルの数量が変わってしまうことに頭がついていかない。
加藤さんの教育担当の社員は慶弔休暇で数日出勤してこない。仕方なく私が発注の仕方を教えることにしたのだけれど、加藤さんはマイナス思考な上にすぐに慌てるので作業が進まない。
「無理……混乱します……」
もう聞き慣れた弱音に周りの社員は呆れた視線を向ける。
こんな加藤さんの姿を見ると私は涼平くんの教育担当で良かったと思う。加藤さんの担当になっていたら毎日余計な残業確定だっただろう。
「古川さん、少し休憩してきてください。僕がサポートに入ります」
涼平くんが私の後ろから声をかけてくれた。
「そう? ありがとう」