この恋が手遅れになる前に
横にいる涼平くんを横目で見る。私を好きだと言ってくれる彼を悲しませてしまうかもしれなかった。
しっかりしないと。私は涼平くんと向き合うって決めたのだから。
「来てくれてありがとう……」
「いえ。奏美さんと少しでもクリスマスを過ごせて嬉しかったです」
既に日付は変わって26日になってから数時間たつ。決してロマンチックとは言えなかったクリスマスだけれど、それでも涼平くんが嬉しそうにするから私も笑う。
「ふぁー……」
涼平くんがあくびをする。
「ごめんね、担当じゃない仕事をさせちゃって」
「俺がしたかったんだからいいんです。奏美さんとゆっくり話せて嬉しいですよ」
そう言いながらも涼平くんは目を擦る。
私のために睡眠時間を削って来てくれたのだ。強引なところもあるけれど、この子は私のことを一番に考えて、私だけを見てくれる。
「涼平くん、どこかで朝ごはん食べようか?」
「いいですね……でもすみません、明日というか今日昼から出勤なので寝たいかもです……」
「そっか……ごめんね、疲れさせちゃって」
「奏美さんが謝る必要はありません。俺が勝手にしたことなので。今が大事なときですから」
「大事なとき?」
「奏美さんの気持ちの動きです。部長の近くにいてほしくないんです」
疲れた頭には嫉妬で溢れる言葉が響く。こんなにも想ってくれる涼平くんの気持ちが嬉しい。章吾さんがそばにいたのに、私は涼平くんに掴まれた手を振り払えなかった。こうして大した抵抗もしないまま大人しく涼平くんの車に乗ったのは、この子を受け入れ始めた証拠だ。
「涼平くんがこんなに嫉妬深いなんて思わなかった」