この恋が手遅れになる前に
今日は風もないし天気も申し分ない。
校庭に集まる子供たちはみんな面白そうに大きなビニール袋に入った花びらとシートを眺めている。
隣に立つ加藤さんは緊張しているようだ。教職員や保護者、地域の住民の前でメガホンを持ち作業の説明をしなければいけない。
小柄な加藤さんと目の前の6年生の子供たちはほとんど身長が変わらない。そんな加藤さんに女子児童たちは「何歳ですか?」と話しかけてくる。戸惑いながら対応する加藤さんはもしかしたら子供が苦手なのかもしれない。
「ず、図案のように花びらを、載せていってください……花びらを踏むと、い、色が黒くなってしまうので気を付けて、あと、シートの上では靴を脱いでください……」
加藤さんは私が不安になるほど自信なさげに説明をする。またも女子児童に「お姉さん頑張って!」と応援され笑われている。
パネルに貼った図案を生徒たちが見えるように頭上に持ち上げている私は腕が疲れてきた。どうか早く説明を終えてほしい。
「では、校章のグループと……キャラクターのグループに分かれてください……」
加藤さんがメガホンを下げると生徒たちは一斉にシートの上に移動する。「はぁ……」と溜め息をつく加藤さんに「じゃあ頑張ろうね」と声をかける。
私はゆるキャラの図案を監督し、加藤さんが校章の図案を監督する。
ゆるキャラの方は女子児童が多く、色とりどりの花びらがあり楽しんでくれているようだが、しばらくすると校章のシートが騒がしくなった。
男子児童が多い校章シートで数人の子が花びらで遊び始めた。先生が注意すると別の場所で遊びだす生徒が出てくる。